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「ひっ!肌の色が四人とも違うぞ?!」
村人の誰かが叫んだ。
「角が生えてるヤツがいるぞ!」
ちがう村人が叫んだ。
「ま、ま、魔物じゃ…」
じい様が吐き捨てるように呟いた。
その刹那。
ズバッ!!
じい様の首が宙を舞い、続けて村人らの首や胴体が血しぶきをあげ、盛大に臓物を撒き散らせながら地を転がった。
『勇者どのよ、御役目大義であった!!』
馬上で血が滴る長剣を振りあげて、あの髭の大公爵が四本の鋭い牙を剥き、赤黒い肌を鉄よりも固く硬化させて、俺たち【四人】に仕事の終わりを告げた。
『我が忠勇なる戦士諸君!とくとみよ!畏れおおくも我らが皇帝陛下が遣わされた勇者たちによって、百数十年もの間、異教の大魔王に閉ざされていた豊潤なる道は切り開かれた!!』
『『お、おお……!』』
『よいか!過去現在未来永劫この北方領土は、我ら帝国臣民に与えられた乳滴る蜜なる大地だ!!』
『『『お、おお…!!』』』
『取り戻せ!奪いとれ!我らは神の御加護のもとにある!!!』
『『『うおおお!!!!』』』
髭の大公爵が率いてきた数万の軍勢は、坂を下り幾つもの街に突入していくのが見えた。
勿論あれらの将兵たちは大公爵の私兵ではないのは、容易に想像がついた。
あの可愛らしいお姫様旗下の【国軍】なのだろう。
『ひどい!大公爵さまもお姫様も、あたしたちを騙していたのね!!』
『そうです!あたしたち、信じてたのに!』
肌も魔導衣も黒い黒と、同じく白い白が、大公爵に食って掛かる。
『嘘なぞ、我らは一言もついてはおらぬが?』
彼は馬上に悠然と構え、眼下で繰り広げられる殺戮を悠然と眺めている。
『そだよな、嘘は一切ついてない。あの、あんたの兵隊も一時的に国軍の兵を雇ってることになってんだろ?』
肌は蒼く、身につける刺々しい甲冑は深紅の武人は、半ば呆れ返りながらふてぶてしい態度できいた。
『その通りだ。万が一、今時作戦が失敗した場合。その全ての責任は姫様にあらず、不肖ながら儂が一命をもって引き受ける所存だ』
リアルで赤い髭の大公爵は、一切顔を武人から背けることもなく、泰然とした態度で淡々と返答した。
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