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『大公爵さまにお聞きしたいことが幾つかあるんですが、かまいませんかね?』
『なにかな、勇者どのよ』
勇者は大きく吸った息を、ぶわわーっと吐いて、
『あんた。なんの躊躇いもなく兵を街へと進めたな。ということは、かつてここに住んでいた帝国臣民とやらは、既に全滅した。いや、させられた見た。ということでいいんだな?』
『左様。もしも生き残りが、どこかにいたとしても、斯様な異教の、大魔王が取り仕切る土地。儂ならばひたすらどこか山奥にでも身を隠し、細々と生きておるはず。したがって、あきらかに我らに味方するもの以外は【魔族】として葬り去れと、諸将には通達してある』
『大魔王ってあれか、そこに首転がせてるじい様が言ってた、聖なんたらとかいうヤツか?』
俺が指さしたシワだらけの首をみてから、俺の顔をみた大公爵さまは、こくりと頷いた。
『如何にも』
『お姫様のしおらしい態度は、いまから思えば癪にさわるが、お互い初対面だったし、幼い頃から気心を通わせあった仲でもないからな、俺たちを引き込むのに、あーするしかなかったんだろう。わざとやってたんだろ?そうだろ大公爵さまよ』
『そのとおりだ』
『よーし!得心がいった!!』
ダンッ!!
勇者は右足でおもいっきり地面を踏み締め、仲間たちを見渡した。
『殺るか!』
『殺るんですね!』
『殺りましょう!』
らんらんと、異様に耀いた眼を見開き、仲間たちは自分の得物を構え意気軒昂としている。
『ああ、殺る。殺り尽くしてやる。なんせ俺たちの旅の目的は、大魔王の首を刈り獲ることだからな!!いくぞぉぉおお!!!』
『『『うおおお!!!』』』
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