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中学卒業後の休みの間にカオルの髪は肩を超え、セミロングと呼べるほどの長さになった。今はそれを赤茶色に染め、ゴムで一つに結わえていた。
入学した高校は校則がとても緩い。あってないようなものだ。髪型も服装も自由。三年間に必要な単位と出席日数さえ満たせば卒業できる。
カオルは、まだ平たく華奢な身体にぴたりと張り付くTシャツに、ゆるっとしたデニムの裾を捲り上げ、細くて白い足首を見せていた。小さい頃からチビでやせっぽちなカオルは、十五になった今も変わっていない。白磁のように白く滑らかな頬がほんのりピンク色に染まっている。優しくそよぐ春の風は、まだ時々冷たい。
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