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『今日は初デートで海に来てまーす!』
『マコトはしゃぎすぎ』
そこには写真にいた男性と、私が写っていた。この男性がマコトで間違いなさそうだ。
動画の様子からして私と彼は付き合っていたみたい。そばにあるビデオカセットをまた再生した。
『今日はクリスマスイブ!あいつには内緒でケーキとプレゼントを買ってきましたー!』
ビデオカセットは2017年の12月25日で終わっていた。
『帰ってきたら驚かそうと思って、クラッカーまで買ってきた』
その途端、クラッカーが鳴る光景がフラッシュバックする。
「今の…」
動画の続きは彼がクラッカーで私を驚かす場面だった。
続きのビデオカセットはなかった。
どうして、ここから先がないんだろう。彼と私はどうなったんだろう。
ビデオカセットを元の場所に戻すと違和感を感じた。
底が少し盛り上がっていた。底を捲ってみると、二つの鍵が出てきた。
あの部屋の鍵だ。
直感でそう思った。
また足を運んで、鍵穴に鍵を差し込んだ。
予想通り扉は開いた。部屋の中は勉強机とベッド、クローゼットだけだった。もう一度彼の携帯に電話をかけた。
電話の音は勉強机の引き出しにあることがわかった。引き出しには鍵がかかっていたけど、二つ目の鍵を使って開けることができた。
引き出しにはマコトのものと思われる携帯。
手にとって、通話の履歴を見た。
最後の通話履歴は25日だった。
それだけに限らずに、最後にとられた写真も25日。しかも私たちだった。
この携帯は25日からここにあると思った。
いったいなぜここにあるんだろう。
彼はどこにいるんだろう。
机の横にあるクローゼットを開くと、たくさんのダンボール箱が積み重ねてあった。箱にはそれぞれ、誰かの名前と日付が書かれている。ぱっと見て10個はありそう。
ひとつひとつ数えていけば一番新しい12月25日のマコトのダンボールが眼にとまった。
背伸びをしてマコトのダンボール箱の中を取り出した。箱には私たちの写真と彼がつけていたアクセサリー。そしてビデオカセットが入っていた。
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