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日付は、25日と26日。
見てはいけないと思った。
だけど、見たいと思う自分もいた。
先に25日のものを再生した。画面が写した場所はリビングのテーブル。
確か、リビングにある観葉植物に仕掛けたんだよね。自然にそんなことを考えていた。
『ケーキ美味しかったね』
『うん、美味しかった』
ただの恋人同士のように、団欒としているだけの動画。かと思えば、私が出したコーヒーを飲んだ瞬間にものが割れる音がして彼が苦しみ出した。
『今までありがとう、楽しかった』
苦しそうに這いずり回る彼に馬乗りになって首を絞める私。
『大好きよ』
ビデオは続いた。動かなくなった彼にキスをして服を脱がし、解体するところまで撮ってあった。
カメラに残ってなかったけど、小分けにして冷凍庫に保存したのを思い出した。
25日のビデオが終わり、今度は26日のビデオカセットを再生する。
『今夜のディナーはマコトのお肉です』
写されたのは見慣れたテーブルに並んだ食事。
『お肉にかけたのはマコトの血を使った特性デミグラスソース。すごく美味しそう』
写された動画に、興奮を覚えた。
『うん、思った通りマコトは美味しい』
『煙草も吸わないし食べるものに気を付けてた分、今までの人たちと違って癖がなくて食べやすい』
『明日はどうして食べようかな』
私は彼を愛していた。もちろん今も。
彼は私の中にいて、彼は私になった。
私も彼になった。
一緒になったから更に愛が深まった。体がポカポカする、マコトも喜んでくれてるのかな。
『これからもずっと一緒だね、マコト』
クローゼットを見て口角があがった。
この箱に書いてある名前は、
全員、私なのだ。
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