17人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
お手伝いさんがテーブルに置いてくれた水の入ったグラスに自分の顔が映る。
黒い長い髪で目まで隠れた自分の顔。不健康なほど白い肌。お母さんに似た唇、スッとした鼻。
……父様に似た目元に真っ黒な瞳、キリッとした眉。
私は自分の顔が嫌いだ。この家のパンドラを積め込んだみたいなこの顔が……。
耐えられなくなり、私はグラスを手に持ち水を少し喉に流し込む。するとカランっと氷が音を鳴らす。
テーブルにグラスを置くと、対角線の兄と目が合う。
___あぁ、本当、この空間ごと、パンドラ家族だ。
最初のコメントを投稿しよう!