第Ⅰ章 パンドラ家族

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お手伝いさんがテーブルに置いてくれた水の入ったグラスに自分の顔が映る。 黒い長い髪で目まで隠れた自分の顔。不健康なほど白い肌。お母さんに似た唇、スッとした鼻。 ……父様に似た目元に真っ黒な瞳、キリッとした眉。 私は自分の顔が嫌いだ。この家のパンドラを積め込んだみたいなこの顔が……。 耐えられなくなり、私はグラスを手に持ち水を少し喉に流し込む。するとカランっと氷が音を鳴らす。 テーブルにグラスを置くと、対角線の兄と目が合う。 ___あぁ、本当、この空間ごと、パンドラ家族だ。
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