Capitolo 1 比翼の鳥と焔のお菓子

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「は、えっ、女神?」 「はい。女神です。」 いきなり何言ってんだこいつと最初に思った。女神?そんなのは幻想に過ぎないだろ。そういう風に考えていると、 「その顔は信じてませんね、颯。まぁ、覚えていないのならば、私のことやこの場所のこと知らなくとも納得がいきますが。」 と、おそらく顔に出ていたのか、相手に信じてないことがバレてしまった。まぁ、そんなことはどうって事ないが、それより、 「おい、君はなぜ、俺のこと知っているんだ?」 「何故ってそりゃ、君が何度かこの〈ルクシリア〉とあっちの〈エリクレア〉を行き来していたからだよ。その時に何度か会話したからある程度君のことは知っているんだが、君はそれさえも覚えていないのか?」 「ああ、こんなところ知らないし、君のことももっと言えば丹川のことも記憶にない。」 「うーむ、それは困った。ということは一から全て話さないといけないか。」 と言って、キュレアと言われた自称女神は泉の方へ行き、泉のそばまで来ると俺らの方を振り返ると、 「そこまで私も暇というわけではないから、端的に説明するよ。まずこの世界とは別にもう一つ世界がある…」 というふうに説明し始めた。それから小一時間ほど経って、 「…という訳なんですが、わかりましたか、颯?」 「待て、待て。話が長いから俺流に訳させてもらうぞ。」 「ええ。お願いします。」 「まず、俺らのいるこの世界とは別にもう1つ世界があって、100年前の影の審判が原因で、もう1つの世界〈エリクレア〉の均衡が崩れ始めて、今になって、〈エリクレア〉の住民が〈ルクシリア〉にきてしまっていると。だけど住民達が〈ルクシリア〉に流れてくるとバランスが崩れて2つの世界が崩壊してしまうと。だから俺に住民を戻す手伝いをしてほしいと。」 「その通りです。」 と言われても普通は信じられない内容だし。と返事に困っているとふとあるものが目に入った。それはなんて事のない普通の光景。その瞬間、 『ーー。た、す、け、て。』 (…っ。) ある光景が蘇る。頭痛がし思わず頭を抑える。幸い頭痛はすぐに治ったが、混乱させるには十分だった。「大丈夫?」と言いながら手を差し伸べる丹川の手を振り払う。 「なんなんだ、もう。訳分からん場所に連れていかれるし、訳分からん話聞かされるし。振り回すのはもう十分だろ。」 怒鳴りつけてから、ハッとなって後悔し、俺はその場から逃げるように走り去った。
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