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約4時間に及ぶ入学式が終わり、会場を後にした新入生達は、各々が各々の教室に戻った。俺も自分のクラスの席へと戻ると、その時を見計らったように、
「お疲れだな、颯。まぁ4時間も座り続けるのは流石の俺でも疲れるわ。」
と俺の目の前の席に座りながら、彼-鷲塚零は言った。
「お互いにな。全くどこの学校も学校長の話は長すぎだよな。」
「それな。」
鷲塚零。中等部からの親友の1人であり、唯一同じクラスになった。他のやつらは、別々の学校かクラスになってしまった。そもそもルーミティナル学園は世界中から人が集まる場所であり、その影響からどの学校よりも人数が圧倒的に多い。なので、クラス分けも特殊な方法を用いている。俺たちが在籍する2組はスポーツもしくは勉学どちらかに特別長けているもののクラスだ。もちろん1組は文武両道の者達のいわゆる特進クラスだ。
俺は理系+英語が、零は運動神経が良いため、2組となった。
「でもさ、颯。4時間近く入学式やったのにまだ初日が終わらないんだぜ。どうなってんだ。」
「そこは仕方ないじゃね。この学園に入学した以上はさ。」
「そういうもんかね。…そういえば、在校生代表の人、めっちゃ可愛くね?」
でたよ。と欠伸をしながら思う。こいつは普段はいいやつなんだが、年上の好みの女性に出会うとこの調子だ。こうなると面倒だ。…ってあれ?
「在校生代表ってもしかして…?」
「そのまさかだ。この学園の現生徒会長の月奏さんだ。」
あー、と思う。
「…あのさ、零。非常にいいづらいんだけどさ。」
「なんだ、颯。言いづらいことって。俺達親友だろ。なんでも言えよ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、2つほど。」
俺は一呼吸置いてから、
「まず1つ。この学園の現生徒会長の秋雨月奏は俺の従姉だ。」
「…えっ、ええー!」
しばらくの沈黙の後、零が叫んだ。遠くの方から、「男子、うるさーい。」と言っている女子の声が聞こえる。
「どうして、お前と会長が従姉なんだよ。」
女子に怒られた零が小さな声で言う。
「どうしてって言われても、そうなんだから。としか言いようがないしな。」
「うらやましいな、おい。…そういえば、2つあるって言ってたな。もう1つは?」
「ん?ああ、もう1つは…「おーい、席に着いて。HR始めるよー。」」
いつのまにか入ってきていた教師によって、話を遮られてしまった。俺らは話を中断し、それぞれの席へと着いた。
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