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ここに並んでいる献立だって、みんな当たり前みたいに食べてるけど、あたしがそれぞれに合うものを考えて揃えてるんだから、買い食いの癖がついて肝心の夕飯が入らなくなったら困るんです」
ゑば「おこずかいじゃなくて、お駄賃だから」
良江「同じことです」
ゑば「ちゃんと(孝夫が夕飯を)食べてるし」
良江「それはあたしがお菓子を預かってるからです」
くに、黙って口を動かしている。
良江「上のおばあちゃんもおこずかいあげたでしょう。
ひと事みたいな顔して自分の口ばかり可愛がってないで、聞いてるんですか」
くに「自分の口ばかり可愛がるって、あんた」
良江「おかあさんがよく言うせりふでしょう」
孝夫、さわらぬ神にたたりなしとばかりに食器をまとめて流しに持っていく。
良江「まあ、きょうは大した金額でなし、使った分は仕方ないけど」
“大した金額ではない”というところで、二人のおばあちゃんはちらっと目を動かす。
孝夫「(そ知らぬ顔)」
くに「(何がぶつぶつ言うが)お風呂は」
良江「わいてます」
くに、立って風呂場の方に姿を消す。
ゑば「(誰に言うともなく)一番風呂は、年寄りにはよくないんだよ」
良江「(孝夫に)半分だけ食べていいわよ」
孝夫、冷蔵庫を開けてチョコレートを出し、言われた通り半分だけ割って持っていく。
後片づけを始める良江。
お湯の流れる音が聞こえてくる。
○ 奥座敷
風呂あがりのゑば、テレビをつける。
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