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上の電灯をつけないで、暗いなかテレビだけがこうこうと光っている。
すっと座敷との間仕切が開いて良江が顔を出す。
良江「そんなに暗くしてないで、明かりをつければいいじゃないですか」
ゑば「ありがとうござんす」
とは言うが、明かりはつけない。
良江、仕切りを閉じる。
ゑば、たんすからワインボトルを出して、湯呑み茶碗に注いできゅっとあおる。
ゑば「ふーっ(満足そう)」
玄関の戸が開く音。
敏夫の声「ただいま」
○ 二階
夜だというのにベランダの植木に水をやっているくに。
○ 階段の途中
孝夫がしゃがみこんで敏夫の部屋をのぞいている。
○ 敏夫の部屋
敏夫、覗き穴に背を向けて机に向かっている。
しきりときちんと削られた鉛筆に手をのばしては何か書いている様子。
孝夫「(何をしてるのかなあ)」
(F・O)
○ 一ツ木通り(朝)
黄色い帽子をかぶり、ランドセルをしょって登校中の孝夫。
○ 同・肉屋の前
犬がいなくなっている。
特にそれを意識もしないで遠回りせず歩いていく孝夫。
○ 赤坂小学校・教室
帰り間際。
孝夫と康を含む男子生徒数名が集まっておしゃべりしている。
生徒A「知ってる?一ツ木通りの肉屋、大きな犬飼ってただろう。あれいつのまにかいなくなったけど、その肉を挽き肉に混ぜて売ってるんだって」
康「うっそだあ」
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