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康「君のところ、おばあさんが二人いるの?」
孝夫「ときどき一人になる」
康「なにそれ。
どういうこと」
孝夫「今降りてきたのが、お母さんのお母さん。
テレビを見ているのが、お父さんのお母さん。
お父さんのお母さんの方は、叔父さんの所といったりきたりしてるんだ」
○ イメージ・参道
を体の割に大きな荷物を担いでてくてくと歩いてくるくに。
○ 同・玄関
荷物を下ろして、中からチョコレートを出して迎えに出た孝夫にあげるくに。
○ 座敷
孝夫「来るたびにおみやげをくれるんだ」
康「ふーん。
おばあちゃんっていうだけじゃどっちかわからないだろ」
孝夫「だから、下のおばあちゃん、上のおばあちゃんって言っている」
康「もう一人のおばあさんは、ずっと住み着いてるの?」
孝夫「だって、この家は上のおばあちゃんのだもの」
康「八つ墓村みたい」
孝夫「なんだ、それ」
康「だって、おばあさんが二人いるから」
孝夫「気持ち悪いこと言うなよ」
康「おじいさんは?」
孝夫「両方ともぼくが生まれる前に死んだ。
お父さんのお父さんは、五十年も前に亡くなってる。
お母さんのお父さんは、ぼくが生まれる丁度一月くらい前に亡くなったんで、生まれ変わりだっていうんでその名前をもらったんだ」
康「ふーん」
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