1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
良江がおやつを持って入ってくる。
良江「いらっしゃい」
康「(行儀よくなり)おじゃましてます」
良江「こんど転校してきたんですってね」
康「はい」
良江「大変ねえ」
康「慣れてますから。
でも、ここに来て一学年で一クラスしかないのにはびっくりしま した」
良江「だから、誰か転校してこない限りお友達が増えないのよ。
仲よくしてやってくだ さいね」
康「はい」
良江「そうそう。
赤坂小学校って、昔なんだったか知ってる?」
康「いいえ?」
良江「大岡越前守の屋敷だったのよ」
康「へえ。
意外と小さな屋敷だったんですね」
良江「(苦笑して)確かに小さいわよね。
子供が減ってだんだん小さくなる。
ここは一種の過疎地帯よ」
ゑばの声「良江ちゃん」
良江「はいはい…ゆっくりしていってね」
と、台所に戻る。
おやつを食べ出す孝夫と康。
○ 台所
おやつを食べているゑば。
○ 奥の座敷
良江、くににおやつを持っていく。
良江「(イヤホーンをしていない方の耳に大声で)おばあちゃん。
おやつですよ」
くに「(イヤホーンを外してふかぶかと頭を下げ)ありがとうござんす」
○ 円通寺・参道(夕方)
黒塗りの大きな車が止まっている。
少しひっこんだ所にある料亭の客を待っているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!