赤坂の八つ墓村(シナリオ・全)

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良江がおやつを持って入ってくる。 良江「いらっしゃい」 康「(行儀よくなり)おじゃましてます」 良江「こんど転校してきたんですってね」 康「はい」 良江「大変ねえ」 康「慣れてますから。 でも、ここに来て一学年で一クラスしかないのにはびっくりしま した」 良江「だから、誰か転校してこない限りお友達が増えないのよ。 仲よくしてやってくだ さいね」 康「はい」 良江「そうそう。 赤坂小学校って、昔なんだったか知ってる?」 康「いいえ?」 良江「大岡越前守の屋敷だったのよ」 康「へえ。 意外と小さな屋敷だったんですね」 良江「(苦笑して)確かに小さいわよね。 子供が減ってだんだん小さくなる。 ここは一種の過疎地帯よ」 ゑばの声「良江ちゃん」 良江「はいはい…ゆっくりしていってね」 と、台所に戻る。 おやつを食べ出す孝夫と康。 ○ 台所 おやつを食べているゑば。 ○ 奥の座敷 良江、くににおやつを持っていく。 良江「(イヤホーンをしていない方の耳に大声で)おばあちゃん。 おやつですよ」 くに「(イヤホーンを外してふかぶかと頭を下げ)ありがとうござんす」 ○ 円通寺・参道(夕方) 黒塗りの大きな車が止まっている。 少しひっこんだ所にある料亭の客を待っているのだ。     
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