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孝夫「(小声で)お母さんには違いないよね」
** ワインの包みと、お釣りをもらう孝夫。
お釣りをぐっと握る。
○ 細川家・奥座敷
孝夫「はい」
と、包みをゑばに差し出す。
ゑば「ありがと」
受け取った包みをたんすの引き出しにしまう。
ゑば「これを買ったのは秘密だよ」
孝夫「(うなずく)」
○ 同・座敷
戻ってくる孝夫。
くにの声「孝夫ちゃん、孝夫」
孝夫、階段の方に向かう。
○ 同・廊下
孝夫、階段の下あたりに来る。
くに「(上から)ちょっと来て」
孝夫、言われるまま上っていく。
○ 同・階段の途中
たてつけが悪くて、階段の斜めの線と、壁に走る縦横の木材の線がぴったり合わさらず、そこだけ小さな穴が開いているのを紙を貼ってごまかしている。
孝夫がそれをはがしてのぞくと、無人の敏夫の部屋の様子が見える。
整頓された机と書棚。
くにの声「孝夫ちゃん」
孝夫、のぞくのをやめて上っていく。
○ 同・二階
部屋の大半を占める大きなベッドの上に寝ころんでいるくに。
くに「ちょっと頼みたいことがあるんだけどね」
孝夫「なに」
くに「手持ち金庫取って」
孝夫、部屋の隅の仏壇の下の引き出しを開けて手持ち金庫を出してくにのもとに持っていく。
くに、金庫を開けて証書を何枚か出して孝夫に渡す。
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