赤坂の八つ墓村(シナリオ・全)

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赤坂の八つ墓村(シナリオ・全)

○ 円通寺 都会の真ん中にある小さな寺。 T「東京・赤坂」 参道の入り口にかけられた大きなちょうちん。 その前で人待ち顔の小学三年生(細川孝夫)。 学校がひけた後、いったん家に戻ってランドセルを置いてきた格好。 T「1972年」 そこに同じ小学三年生の男の子(大屋康)がやってくる。 孝夫「(あいさつは省略して)こっち」 と、先に立って案内していく。 ○ 同・参道 両脇の境内に、そこだけ時間が止まったように古びた感じの人家が並んでいる。 境内を一歩出れば、車がひきもきらず往来している、そのコントラスト。 康「(いちょう並木を見回しながら)赤坂にもこんなとこがあるんだね」 孝夫「ここが僕の家」 参道から外れた古びた小さな二階建ての家(細川家)の前に立つ二人。 康「(意外そうに)ふつうの家だね」 孝夫「どんなとこだと思った?」 康「マンションかと思った」 孝夫「みんな、たいていそう言う」 康「生まれた時からずっとすんでるの?」 孝夫「生まれる前からだよ…ただいま」 と、入っていく。 ○ 細川家・玄関 康「おじゃまします」 と、続いて入ってくる。 ○ 同・台所 から孝夫の母の良江が顔を出し、 「いらっしゃい」     
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