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エピローグ
彼らは永い年月をかけ、少しずつ惑星の至る所に拡がっていった。
数十のグループに別れ、大陸を横断し、海を渡った。
当初は生活に適した土地を見つけるだけでも難しかったが、惑星の環境が温暖になっていくにつれて、住める場所も広がっていった。
海の中に比べ、陸地に生命体は乏しかった。
最初は氷河期を生き延びた小動物しかいなかったが、永い年月を経て大型の肉食獣も生まれ、さらに永い年月のかけて知能を備えた高等種も現れた。
彼らは、その生物を愛で、種子を蒔くように、文明の契機を与えていった。
時には、群れを造り、君主として彼らを統治した。
神として、崇められることもあった。
永遠に歳を取らないからだ。
しかし、永い永い年月の果て、彼らの個体数は徐々に減っていった。
肉体に寿命は無かったが、事故で死んでしまうことは、どんなに気を付けていても、起きた。
時間の経過に比例して、彼らの個体数は減っていった。
お互いに行き合うことも稀になった。
彼らにも、どれくらいの数の同胞が生き延びているのか、見当もつかなかった。
彼らの存在は、やがて伝説となり、神話となった。
何百万年もの時を経て、今でも彼らが生き残っているのかは、判らない。
まだ生きているのであれば、どこかで暮らしているのだろう。
この地球上の、どこかで──。
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