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第二章 ウェディング
ここパンテオンは、外界から隔絶され、物理的な意味でも完全に孤立している町だ。したがって、そう易々と大きな物を、町の外へと運び出すことは出来ない。
故に、中枢機関も、まだこの町の中のどこかにあるはずなのだ。
かつて、何人かのエージェントが捜索のために派遣されてきたが、未だに見つけられていない。それどころか、潜入したエージェント達からの連絡はやがて途絶え、ついに誰も戻ってくることはなかった。
どこかに囚われているのか、それとも既に死んでしまっているのか。
長閑な雰囲気に隠された毒牙が、今も私に狙いを定めているのかもしれない。
建設当初の役所の見取り図には、きちんと中枢機関らしき物は書き込まれているのだが、長い時間が経過し、どうやら当時の設置場所には無くなっているようだ。
何か避けられぬ事情があって動かされたのか、隠すためにあえて移されたのか、どちらかは分からない。
いずれにしても、その場所を突き止め、この町に蓄えられたデータを回収しなくてはならない。
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