ブリキのカナリア

第一章 バンビ

部屋に戻り、中断していた食事を終えた。

すっかり冷めていた。

冷めてしまってはいたが、むしろ美味しく感じられて、先程までは気が張っており味覚が半減していたことに気付く。

最後に冷めたコーヒーを飲み干して、大きく深呼吸をした。

幾分、気分が良くなった。

ロナルドの件が何事もなかったと分かると、急に身体が軽くなった。特に責任があるわけでもなかったのに、まさに肩の荷が下りた感じがする。

しなくてはならないことが無くなったと思った途端に、心に余裕が生まれるのだ。

今日はルルの結婚式に参列し、明日以降は本来の目的である、探し物に本格的に費やすことにしよう。

まずは、町長のロナルドに改めて会って、情報を集めなくてはならない。

そろそろバンビにも本格的に手伝ってもらおうか。

探しているのは、この町の中枢機関(ファザーコンピューター)。

そして、そこにある筈(はず)のデータを回収することが、私がこの町に来た目的である。