0人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、背後に何かの存在を感じた。足音は用心深く消されているが、ハンターの俺の耳をごまかし切ることはできない。これは、二足歩行の動物の足音だ。やはり、この罠は、四足の獣の器用さではなかったか。
思い切って上半身をひねると、そこには腰に毛皮を巻いた、人間らしき男が立っていた。頬に刻まれた深い傷跡は、男が狩人であり、勇者であることを示している。上半身は分厚い筋肉に覆われており、こちらにも大小さまざまな傷が見て取れる。驚いた表情をしてはいるが、その雰囲気からはくつろいだ余裕が感じられた。
「お前は何者だ」
相手を指さしながら声を掛ける。言葉が通じると思ったわけではない。ただ、彼がどこかの部族に属し、言葉を使う文化を持っているのであれば、対話を求めることで、殺したり食べたりするよりずっといい俺の利用方法があることに気づかせられるのではないか、と考えたのだ。
しかし、彼は俺の言葉を無視し、うつむいて何かぶつぶつつぶやくと、おもむろに腰の毛皮を取り去った。全裸になった男は、俺を捕らえている沼に手を入れ、小さくうなずくと、ゆっくりと沼の中に体を沈めていった。沈むのに時間がかかるせいで、男の股間が俺の目の前にぶら下がる。自分を捕らえた相手から視線をそらすことが危険であることは重々承知していたが、それでも、顔をそむけずにはいられない。
最初のコメントを投稿しよう!