1/10

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

アラームの甲高い目覚まし音に目を覚ますと、そこには夢のような現実の生活が待っている。 自分は寝起きが良い。 今はそれだけが自分が人に誇れる唯一の取り柄といっても過言ではない。 だからスマホのアラームが指定された時刻に大音量でガンガンと耳元で騒ぎ始め、静まりかえった室内にけたたましく鳴り響いた今でも、鳴り出して僅か3秒ほどで眼をぱっちりと開くことが出来たし、それと同時に速やかにアラームをスワイプで沈黙させることができた。 アラームの時計が映し出すデジタル時計の時刻はAM5:30。 それが5:31になったのを眼で確認してから行動を始めるのが最近の自分の毎日の日課だ。 その1分間は自分の目覚めを噛みしめるための時間にしている。今自分が手に入れている夢のような生活の始まりの象徴たる朝の始まりを噛みしめる為の時間。 その1分を噛みしめた後に、室内用折り畳み式ハンモックから弾むように飛び出して、カーテンを両手で開きガラスの存在など認識させないほどに磨き抜かれた窓から外の天気を覗き込む。 昨夜の予報通りであれば良いなと淡い期待を胸に抱いていたら、まさしくその願いが神に届いたとばかりの天気だった。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加