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今までつらい筋トレと激しい練習しかしてこなかった自分にとって、読書という静かで穏やかな時間は産まれて初めての感覚を自分にもたらした。
特に百年二百年前の小説なんかは、自分が知らない日本語がたくさん出てきて、それが自分には凄く新鮮で白と黒しかない紙面に色彩や音まで感じるくらいだった。
芥川龍之介著作の中で蜜柑のように色づいた女の子の可愛らしいほっぺだったり、中原中也著の中で「らあらあ騒ぐ」酔っぱらいだったり、ドストエフスキー著作の中で罪の意識に揺れ動く主人公の心だったり、今までラグビーしか知らなかった自分に様々な世界や色彩を見せてくれたり、様々な人に出会わせてくれる正にどこでもドアだった。
将来はこういう人に携わる仕事に就きたいと思って大学の求職リストを漁っているときに、自分は運命の出会いを果たした。
「先生」はTwitterで小説を投稿している小説家志望の人物だった。
Twitter自体もラグビーを辞めてから始めたものだったから、普通に打ち込むんじゃなくて、テキスト画面のスクショを画像として貼り付けるという手法で文字数制限をものともせず、短編の小説をちょこちょことあげている人だった。
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