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まず朝起きて一番にする俺の仕事は寝坊助な先生の為に朝ご飯用のおにぎりを握って、お弁当をこしらえ、先生を起こしにいく。
ちなみに今日は鮭おにぎり。
「先生、もう七時半すよ。」
「……んあい。」
掛け布団に頭まですっぽりと収まってくしゃくしゃの髪の毛が僅かばかり覗いている布団の塊。それに一度だけ声をかけると先生は返事とも寝言とも分からない声を上げて、すんなりと起きてくる。
もそもそと布団を蠢かせて四つん這いで穴蔵から顔を出す先生は、色白で黒髪ですらっとしてて、毎回ながら何かの動物に見えて仕方ない。髪はそんなに長くないけど、たまに貞子もびっくりな這い出しっぷりも拝むことができる。
「おはようございます!先生今日の、」
「…お前朝から声でかいって。」
まだ自分が言い終わらない内から、先生は目も開いていないような顔で蠅を払うような手つきをした後殆ど手探りで室内を移動し、洗面所へと行ってしまう。
昨日も先生は夜遅くまで小説を書いてたから無理もない。それに先生は低血圧だから朝はしゃっきりできないんだそうだ。
「今日台風来るからここら辺の電車全部止まるっていってましたよ!」
自分はその先生の後ろをよちよちと追いかけていき、洗面器に顔を埋めんばかりに屈んで顔を洗う先生の耳に交通情報を入れる。
「へ。まじで。やば、会社電話しないと…」
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