日本が沈没へと向かう日

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 このプロジェクトを立ち上げたのは、東日本高エネルギー科学研究所と政府である。  数年間と続いたこの海の探求は、ついに一人の巫女が授かった予言によって、成し遂げようとしていた。今は、研究員たちが渦潮を探査機で竜宮城の外郭を水に沈む鏡を見るかのように、渦潮の中を覗いていているのだった。徐々に他の研究員たちの顔にも、緊張が走りだした。 「太陽系じゃなよな。この距離は……。渦潮の中は、宇宙と繋がっていてNASA特性の赤外線ビーコンの反応が全くなくなっているんだし……。確か竜宮城は海にあったんだよな。良く見えるのは障害物のない海ならばだ……本当だった……な。そして、外郭だけでこんなにも大きいんだから、恐らく竜宮城の巨大さはとてつもないのだろうな……」  葉巻を靴でもみ消しながら、宮本博士は訝しんでいるようだ。その眉間には、深い皺ができはじめている。今はその欠片にも満たない外郭が渦潮の中心に見え隠れしているのだ。 「ええ、この地球上では誰も知らないでしょうね。あ、宮本博士。すぐにあのべっぴんの巫女に知らせないと。あの巫女の名前は……知っていますか?」  この一室は、研究員たちが竜宮城をやっと発見したと口々にジョークを飛ばし、笑いながら言い合っていた。無理もない。数年間も続いたのだから……。  ビーコンの反応は主に交通や船舶とのやり取りとして使われている。双方向通信をするためであったが、NASA特製のビーコンは、その反応の距離は尋常ではないのだ。不思議ではあるが地球の海の中の渦潮から、遥か彼方の銀河へと空間が繋がっているのである。  やはり、それぞれのリンクしたパソコンのディスプレイに映る巨大な渦潮は、驚くべき速さで広がっていた。  渦潮の中から巨大な龍としかいいようのない生き物が数匹でてきたのを、真っ青に見つめている宮本博士は、独りごちた。 「あの、巫女の言う通りだ……」  今まで、呑気にドーナツを齧っていた小太りの研究員が思わず口を開けてドーナツを床に落としまった。
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