93人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうよ。後、三カ月間で習得してもらうわ。できないことは、教えないようにするから。ハイッ!」
突然、蓮姫は槍を湯築の目前で、薙ぎ払った。
すると、風圧で湯築の後ろにある。かなり離れた灯籠の火が全て消えたようだ。しかし、瞬く間に、灯籠には火が再び灯った。不思議な間である。
湯築はいきなりのことに驚いて、腰を抜かしたようだ。
「あ、危ないんじゃなくて!?」
「これくらいができないと、こっちも困るのよ」
蓮姫は一呼吸置いて、槍を振り回して、構えた。
湯築は負けじと、その構えを真似たようだ。
湯築は何やら蓮姫との稽古を必死にしている。恐らくは、武に負担を掛けたくないのだろう。
一方。
武は湯築の番が終わって、高取の不思議な修練のあいだに、布団から起き出して空手の構えを片っ端からしていた。
一つの構えから腰を落として凄まじい正拳を打ちだすと、三人組が歓声を上げた。
鬼姫はこっくりと頷き。
「筋はとてもよいです。私との番には是非お手合わせをお願いしますね」
頭を深く下げる鬼姫に武は軽く震えた。
「ああ。けど、どうなるかな? 少し離れているけど、鬼姫さんって、スキがないどころか……なんていうか……。すでに俺が威圧されているみたいなんだ。そのせいで、型に移行する動きが鈍くなっているみたいだ」
確かに鬼神を祀る巫女の鬼姫からは、何かの気圧される空気のようなものが発せられている。これからの修練は、私にとっては楽しいものである。
最初のコメントを投稿しよう!