修練の間

7/14
前へ
/203ページ
次へ
「そうよ。後、三カ月間で習得してもらうわ。できないことは、教えないようにするから。ハイッ!」  突然、蓮姫は槍を湯築の目前で、薙ぎ払った。  すると、風圧で湯築の後ろにある。かなり離れた灯籠の火が全て消えたようだ。しかし、瞬く間に、灯籠には火が再び灯った。不思議な間である。  湯築はいきなりのことに驚いて、腰を抜かしたようだ。 「あ、危ないんじゃなくて!?」 「これくらいができないと、こっちも困るのよ」  蓮姫は一呼吸置いて、槍を振り回して、構えた。  湯築は負けじと、その構えを真似たようだ。  湯築は何やら蓮姫との稽古を必死にしている。恐らくは、武に負担を掛けたくないのだろう。  一方。  武は湯築の番が終わって、高取の不思議な修練のあいだに、布団から起き出して空手の構えを片っ端からしていた。  一つの構えから腰を落として凄まじい正拳を打ちだすと、三人組が歓声を上げた。  鬼姫はこっくりと頷き。 「筋はとてもよいです。私との番には是非お手合わせをお願いしますね」  頭を深く下げる鬼姫に武は軽く震えた。 「ああ。けど、どうなるかな? 少し離れているけど、鬼姫さんって、スキがないどころか……なんていうか……。すでに俺が威圧されているみたいなんだ。そのせいで、型に移行する動きが鈍くなっているみたいだ」  確かに鬼神を祀る巫女の鬼姫からは、何かの気圧される空気のようなものが発せられている。これからの修練は、私にとっては楽しいものである。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加