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「え?!」
武と三人組は、心配して高取の袂へと駆けだした。
「大丈夫……これくらい」
血の気の引いた顔で、高取は歯を食いしばった。
廊下を行き来する巫女たちも、心配気な顔で通り過ぎていく。
「大丈夫?!」
次の修練の間の番の湯築も廊下の角から高取の傍へと駆け出した。その後ろの蓮姫も湯築と同じく心配そうな顔である。
「少し無茶だけど、これくらいできないといけません!」
と、地姫は厳しい。
地姫は、それ以上何も言わずに部屋へと戻って行った。
「厳しいよね」
「厳しいッスよね」
「でも、強くなるはずよ。武様のように」
三人組が口ぐちに言っていた。
実は高取の修行は、神々の降霊である。
皆、高取の番の時だけ外の廊下の空気が氷のように冷たくなることや、かまどのように熱くなることを知らないのだ。
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