龍のアギト

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 麻生は自分の今の寝床の2年B組の教室へと戻ると、大人たちや先生を置いて、蹲るクラスメイトたちから卓登を連れ出し廊下で話していた。 「卓登。武たちを待つと同時に……龍をなんとかしましょ。私と一緒に」 「あの龍を? どうやって?」  卓登はこめかみを突いて頭を振ったようである。恐らくは考える時の癖であろう。 「多分、雨が関係しているはずよ……」 「って……二人だけで?」  ここには、みんなの分の寝袋とインスタント食品が至るところに散見してあり、机や椅子は全て別の場所へと取り除かれていた。薄暗く鬱積している人々の気分は、雨の降る外を眺める人や、本を読む人たちなどでわかる。  麻生は何を考えたのだろう?  確かに龍は雨が関係しているが……。
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