いざ、旅立ちの日

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 ここは存在しないはずの神社。  武たちに、異変が起きたようだ。  それは普通は三カ月かかる修練が、三週間で終わったのだ。    これには鬼姫や蓮姫が驚いていた。  ただし、地姫は別である。    高取の修練が終わると同時に、武たちがなんと鬼姫や蓮姫の予想を遥かに上回る腕を得たのである。    ここは修練の間の入り口付近。木製の両開き扉には武たちが集まっていた。  当然、武装した蓮姫と地姫も鬼姫もいる。  すでに湯築と高取の番が終わっていた。  次は武の番である。 「あなたは強いわ」 「武。頑張ってね!」 「ガンバです!」 「無理せずです!」 「武様は最強です!」  高取と湯築。それから三人組が応援し、武は鬼姫と修練の間へと扉を開けた。  武は間の中央で、木刀を構え、真剣の鬼姫と最後の手合わせをした。  武は木刀を構えると同時に一振りし、そこから生まれた風圧で鬼姫の脇を薙ぐ。その拍子に鬼姫の後ろの灯籠の火が全て消えた。  間の周囲の生暖かい空気が一斉に震えだした。  目を見張った鬼姫はバランスを失い。負けじと刀を構えるが、寸でのところで武の踏み込みが速かった。
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