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「このクソガキ！寝てんじゃねえぞ！さっさと立て！」
いつもこなしている作業中のこと。
背後から聞こえた男の怒声に目を向けると、少年が運んでいたのであろう荷物を持ったままその場に倒れていた。
身体を震わせながらも懸命に立とうとするが、また倒れる。
両脚がガクガクと震え、軸が安定していない。
どうやらもう身体が限界のようだ。
「ビルのやつ…もう休ませてやらねぇと…無理なんじゃねぇか？」
「あいつ、昨日から身体の調子がおかしいって言ってたんだ。」
「ろくな飯も食ってねぇし…このままじゃ…」
「てめぇら喋ってねぇでさっさと運べ！！」
「「「…！はい！」」」
動きが止まっているのを見計らい、男はまた怒鳴り声を上げる。
周囲の者たちは少年を心配しながらも、ただ従うしか無かった。
「……はは…ははは…」
少年はその場に座り込んだまま笑っていた。
笑いながらも目には涙が次々と溢れ出ている。
「もう…もう無理……」
「つべこべ言わずさっさと」
「もう無理なんだよ！！」
「っ！？」
少年は最後の力を振り絞るかのように奮い立ち、男に体当たりをする。
男がよろめいたのと同時に全速力で駆け出した。
「オレは…帰るんだ！また、元の場所に…！」
「っ、くそ、めんどくせぇガキだな。」
「ッグ？！！」
泣き笑いながら、外へ続く扉に向かって走っていた最中、少年は突然首元を押さえ悶え苦しみ出した。
首元には銀色の輪がはめられていた。
「ァガ……ッ……ァ…」
泡を吹きながらも必死に抵抗をみせようとしているが、次第に動きは収まっていった。
「ったく、また処分かよめんどくせぇ。」
男は大きく舌打ちをすると、唖然としながらその様子を見ていた周りの者に目配せをした。
「これ、今すぐ片付けとけ。ヴァン。」
「………はい。」
持っていた荷物を置き、少年の亡骸へと近づく。
ヴァンと呼ばれた少年は亡骸を持ち上げると、少し離れた薄暗い部屋まで運んだ。
(今週は、これで3人目…か。。)
部屋の隅には黒い袋が2つ並んでいる。
亡骸を同じような黒い袋に入れると、その横に並べておいた。
(今回は大きめの穴、掘らされるんだろうな…)
並んだ3つの袋を一瞥すると、ヴァンはゆっくりと扉を閉めた。
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