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「いいか、よく聞けクズ共。今回のターゲット場には、どえらいご貴族様がわんさかいる。絶対にポカやらかすんじゃねぇぞ。当然、警備兵の数も多いが逃げるような真似したら承知しねぇからなぁ…。ちゃんと言われたブツを取って帰るんだ。わかったなぁ?」
そういって、少年たちの目の前にいるどっぷりと太った男は棍棒を持ちながら手の平に叩いた。
「返事はぁ!?」
「「「はい!」」」
「………。」
「…んだ?おめぇ…返事しろっつったろがぁ!」
「ッ…!!」
1人の少年が太った男に勢いよく棍棒で脇腹を殴られ、その痛みに耐えれずうずくまる。
それに追い打ちをかけるように太った男は背中、腹、顔を蹴り上げる。
こういう痛みは日常茶飯事だ。
常に誰かが殴られ、蹴られ、男共の鬱憤晴らしに付き合わざるを得なかった。
痛みに耐えながらも目を開けると、周りにいた他の少年たちは皆歯を食いしばり、拳を震わせながら何も言わずにこの状況を耐えていた。
「何だ…その目は…?」
殴られた少年が男を見上げ、睨みつけていると、再び殴打の嵐に襲われた。
鼓動が脈打つ度に身体中へ痛みの波が広がる。
「チッ、汚ぇな。糞の血なんかぶちまけやがって。ちゃんと拭いとけよ。床が腐っちまう。」
そういい、男はそこら辺に落ちていた古雑巾をうずくまる少年に投げつけた。
「おめぇらみたいなゴミクズにも服着せて飯も食わせてやってんだ。生意気な態度取るとぶっ殺すぞ。」
男はこちらを睨みつけると、ぺっと唾を吐き捨てそのまま部屋を後にした。
男の気配が完全に消えたのを見計らい、血相を抱え周囲にいた少年たちが傍に近寄ってきた。
「おい、大丈夫か!ヴァン!」
「……っ…、大丈夫だ。フェム、悪ぃけど肩貸してくれ。」
「いやいや!まだ寝転がっとけって!」
ヴァンが起き上がろうとすると、フェムは焦ったような様子で動きを制止した。
「ひでぇな……ボコボコじゃねぇか。」
「…これくらい平気だ、……ッ!……おい。触んな、ペート。」
「ご、ごめん!痛かった?!」
「…痛くはねぇよ。」
「嘘、絶対痛いよ。」
「うっせーよ…カトル。」
「いくら回復するって言っても時間だってかかるんだ。あまり身体に負担をかけるのは宜しくない。」
ペートは心配そうにヴァンを見つめた。
カトルはやれやれと安堵の表情を浮かべたかと思うと、瞬時に鋭い目付きに切り替わった。
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