妄想娘《２４分の恋》

現実男に妄想

　
　電車内妄想を始めてから、二十四分って時間が丁度いいって気付いた。時間が短いと、妄想が中途半端で、イラッとするんだよね。津田沼だったら、半分以上過ぎてるし。あの三人のせいだ。

　そう思って睨んでみたけど。向こうの女子高生ばっか見て、結芽の事なんて忘れてるよ。憂鬱な気分で、家に帰ってきた。

「ゆううつって、どう書くんだっけ」

　ベッドの上で独り言を言って、テレビをつけたままでボーッとしてた。

『お前だけだ。俺にはお前しかないんだ。だから、俺を……俺だけを見てくれよ』

　こんな事、言われてみたいなぁ。

　電車の中吊り広告に載っていた、イケメン俳優の最新ドラマ。視聴率は、まあまあみたいだけど結芽はボンヤリ見るくらい。横目で、アップになる顔を見てみる。

「イケメンだねぇ」

　真剣な表情を見ながら、この人に告白されるなら。シチュエーションは、どうしようかな。結構、年上だしなぁ。