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おでこに触ってる佐川の胸の感触が、そんな風に思わせるのかな。
「もう一度、もう一回だけ言う」
「えっ、何を……」
「俺が今の学校に、進学を決めた理由」
「ああ、さっき言ってた……」
「俺は、秋吉が八高に行くって聞いたから。今の学校に、行くって決めたんだ」
今の言葉は、現実…… ううん、そうじゃなくて妄想だよね。でも、現実でもおかしくない理由だな。
でも、結芽が八高に入ったから。市川鬼越工業に行ったなら、今まで一回も会わなかったのは何でだろう。
やっぱり、所詮は妄想なんだよね。
「いつか、駅で会えるんじゃないかって思ってたんだけど。部活の終わり時間がいつも違うから」
「だから、会えなかったんだ」
「それが昨日、足を捻って部活を休んで病院に行くってなったら、初めて会えた」
「足、大丈夫なの?」
「平気だよ、だからこうして立って秋吉を支えられるだろ」
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