初恋男に妄想

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   それで、何にも言ってくれないの?      ・      ・      ・      ・      ・ ――― ただいま ―――  妄想とは言っても、佐川の態度は許せないなぁ。せっかく期待してたのに、最後のところで言わないなんて。  ぼんやり電車から降りたら、後ろから佐川が降りてきた。さっきのは、妄想だから佐川には関係ない。だけど、ムカついて振り返った。  佐川が、真剣な顔でこっちを見てる。 「秋吉、俺と付き合ってくれ」 「えっ……」 「もし今の学校で、彼氏がいなかったらだけど」 「はぁ、それって言う順番が違くない?」 「そうだけど、中学の時から好きで…… 告白出来なかったから」  妄想って、大体は結芽の都合のいい思い込み。だけど、現実に戻ると妄想とのギャップで落ち込んでた。  でも、これってギャップの方向が真逆じゃない? 落ち込むどころか、嬉しすぎるよね。
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