現実男に妄想

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   でも、不便なの。電車の車内じゃないと集中できないし、相手の顔を見てないとリアルな想像にならないんだ。 「結芽、ゆ~め~。ご飯よ」 「はぁい。今行くから~」  こんな事もあるから、家では妄想が出来ないんだよ。 「いつもの車両に、あの中吊り広告はあったかなぁ」  そんな事をブツブツ言いながら、晩ごはんを食べにリビングに行った。    『オカズ』は、既に決まってる。それが楽しみで、昨日の夜は中々眠れなかった。上手く妄想世界に入り込めたら、あんなに楽しいことって他にないもん。 「結芽、ゆ~め~」 「お母さん、ご飯なら寝る前に食べたでしょぉ」 「何を寝ぼけてるのよ。もう、朝よ」 「朝~まだ、眠いよ~」 「いい加減にしなさい。遅刻するわよ」  遅刻だなんて…… まだ、目覚まし時計は鳴ってないし。お母さんの方が、寝ぼけてるんじゃないのってボーッと考えた。 「…………」
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