現実男に妄想

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   リビングに顔だけ出して、お母さんに声を掛けて出掛けようとした。 「結芽、ちょって待ちなさいよ」 「何よ、遅刻しそうなのよ」 「朝御飯は、食べないの」 「食べるわけないじゃない。急いでるんだから、分かるでしょ」 「じゃあ、お母さんが食べないと。作ったこれ、もったいないわね。はぁ…… また、太っちゃうわね」  朝御飯を一食くらい余計に食べたって、お母さんの体重は変わらないわよ。まったく、太ってるんだからダイエットしなさいよ。 「ゆ~め~、今日の乙女座のラッキーポイントは、満員電車だってよ~」  玄関のドアを閉める時、お母さんがそう言ってるのが聞こえた。満員電車なんて、毎日のように乗ってるわよ。女性専用車両だって、そんなの関係ないんだから。  車庫から自転車を出してきて、駅まであり得ない速さで走る。駅の駐輪場に自転車を入れる時、駐輪場のオジサンが声をかけてきた。
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