現実男に妄想

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   その時、自動改札を通り抜けた。 『一番線到着の電車、到着が遅れまして申し訳ありません。間もなく、発車します』 「間に合うかも……」  諦めかけてたのに、間に合いそうって思ったら足が動き出した。ホームへの階段まで走って、階段をかけ降りた。 「あの姉ちゃん、速ぇな」  そうよ、結芽は速いんだから。陸上部なんだからね…… 幽霊部員だけどね。そんな冗談が、頭の中で浮かんでた。そんなだけで、言ってる余裕なんて全然なかった。 「きゃぁぁぁぁ、どいてどいて」  間に合う、間に合いそうだよ。ここまで無遅刻だもん、何となくこだわっちゃうよね。 『ドアが閉まります。駆け込み乗車は、お止めください』  もうしないから、今日だけ駆け込み乗車を許してよぉ。 「乗ります。乗りますってぇ~」  緊急事態だし、女性専用車両だなんて言ってられない。階段を降りて、すぐのドアに駆け込んだ。
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