現実男に妄想

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   そうだ、まだ乗ったばかりだし。時間は、十分にあるから妄想に入れるよね。  絶対に会えない、イケメン俳優なんかより。目の前にいる、生身のイケメン先輩の方がリアルな妄想に入れるかも。 ――妄想世界いってきます――      ・      ・      ・      ・      ・  また、電車が大きく揺れた。また、強く押し付けられちゃうって。身体を固めて、苦しさを我慢する準備した。  あれ……  見たら、目の前の先輩が両手を突っ張って。結芽が、潰されないように守ってくれてる。 「もう、痛い思いはさせないから」 「えっ、あっ、ありがとうございます」 「君は、俺が守るから」  押し潰されたりはしないけど、先輩と身体が密着してる。電車に乗る前に走ったから、めちゃドキドキ。これって本当に、走ったせいでドキドキしてるのかな。  先輩との恋愛が、今日から始まるかもしれない。
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