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先輩に包み込まれるみたいに、電車に乗ってる幸せ。時々、揺れるけど先輩に守られてる。だから、苦しくないな。
どっちかって言うと、胸が締め付けられるみたいで気持ちが苦しいよ。
「名前……」
「えっ」
「名前を、教えてくれないかな」
そうだった。私たち、今こんなに近くにいて。ドキドキしてるのに、お互いの名前も知らないんだよね。
先輩は結芽の事を、なんて呼んでくれるのかな。やっぱり、最初は『結芽ちゃん』かな。それとも、いきなり『結芽』でもいいなぁ。
結芽的には、どっちでも嬉しい。
「秋吉 結芽…… です」
「結芽…… 結芽ちゃん…… 凄く、可愛い名前だよね」
えっ、可愛いって。
結芽の名前が可愛いなんて、そんな事を言われて嬉しいなぁ。
「ほら、駅についたよ」
先輩がそう言って、結芽の背中に触れて開いた電車の扉から一緒に降りてくれた。
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