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もう少し、くっついていたかったな。
電車からは、次々と人が降りてきて。そのせいで、先輩とはぐれそう。必死で先輩の後を着いてくけど、押されたりしてるし見失いそう。
「ほら、何してるの」
「えっ」
「手を貸して…… こうすれば、はぐれないだろ」
先輩の大きな手が、結芽の手を掴んで優しく引っ張ってくれる。
優しい見掛けによらず、強引なんだね。イキナリで、手まで繋げるなんて。めちゃ、展開が早すぎるよ。
改札を通り抜けた。
学校の方に行くのは、うちらの学校の生徒以外にはいない。だから、先輩は手を離しちゃうだろうな。でも、離さないで学校に向かってる。
「あの、先輩……」
「んっ、どうしたの」
「手……」
「ああ、いいよ」
えぇぇぇぇぇ、なんなのよ。嬉しすぎるってば、でもクラスの友達や他の子にも見られちゃう。
先輩だって、噂になったら嫌じゃないの。
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