現実男に妄想

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   階段の向こうに、先輩の姿が見えなくなろうとしていた。  あっ、急がなきゃ。現実には先輩は、手を引いてくれないんだもん。見失わないように、自分から近づかなきゃ。  階段上がって、改札抜けて学校の方に走り出したら。先輩が、ゆっくりと歩いてた。 「いた。先輩だ」  でも、まさか追い付いて、手をつなぐ訳にいかないよね。だったら、後ろからついていくしか出来ないな。  間に三人くらい挟んで、先輩の後をついていく事にした。 「はぁ、後ろ姿もかっこいいねぇ」  思わず、独り言が出ちゃった。隣を歩いてた、たぶん別のクラスの女子。その娘に、『何こいつ』みたいな目で見られた。  そりゃ、怪しいよね。  そんな事を考えてたら、学校についちゃってた。 「結芽、おはようって、アンタ何してんのよ」  チャリ通の友達二人と、正門前で会った。しかも、結構デカイ声で挨拶してくる。
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