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「市川の八幡高校……」
「へえ、県内の高校なんだ。俺は江戸川橋南高校、川の向こうの学校だ」
まだ、目を会わせてくれない。
でも、満員電車だから身体は密着してて。斎藤くんの心臓の鼓動が聞こえてくる。結芽とくっついてて、ドキドキしてるのかな。
なんだか、嬉しいな。
東京の江戸川区と千葉の市川市は、江戸川を挟んで隣り合わせ。だけどあっちの学校の事なんて、興味がなかったから何も知らない。
「好きな奴、いるのか」
また、ぶっきらぼうな言い方。
「いないけど……」
「学校は、女子高なんだな」
何だか、色々聞いてくるな。そんなに、結芽の事を知りたいの? それって……
「ううん、共学だよ」
「だったら、同じ学校の男にコクられたりするだろ」
「コクられたりなんて無いよ。少し前に、先輩の事を好きになったけど。フラれたってか、その先輩には彼女がいたし……」
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