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うちらが乗った車両だって、カップルが一組とおじいちゃんが一人。それに、大学生みたいな男の人が二人。
だから、余裕で座れた。
朝の電車が、いつもこのくらい空いてたら楽なのになぁ。隣に斎藤くんがいるのに、そんな事を考えちゃってた。
だって、何も喋ってくれないんだもん。
そのまま電車が、津田沼の駅に着いた。斎藤くん、無言で降りるから慌てて一緒に降りた。
ホームの向かい側に、千葉方面に向かう電車が止まってる。
「ねえ、どこに行くの」
「千葉…… 千葉駅まで出たら、知り合いに会わなくて済むから。もしかして、千葉に知り合いが多いの?」
「ううん、そんな事は無いけど……」
千葉方面の電車に乗ると同時に、電車が走り出した。でも、やっぱり斎藤くんは喋ろうとしない。
こいつ、何考えてるんだろ。
千葉への電車は各駅停車だけだから、何だかのんびり走ってる気がする。
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