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朝陽が差し込んで、暖かくて眠くなる。
「眠いなら、寄っ掛かっていいよ」
また、ぶっきらぼうに言われた。
そっと寄り添うと、しっかりと結芽の体を受け止めてくれ。そんな安心の中で、自然と眠りに入っていく。
電車の揺れと、安心感は最高のゆりかごって感じ。ずっと、こうしてたい。
「内房線と外房線を乗り継いで、房総半島を一周しちゃったりしてね」
そんな事、実際に出来るか知らない。だけど、独り言だか寝言だか分からない言葉を、確かに結芽は言ってた。
それって、かなり恥ずかしいよね。
「なぁ、千葉に着いたよ」
だけど、結芽の言葉なんて聞こえてなかったみたいに。斎藤くんは、手を引いて電車を降りてくれた。
そんな言葉…… 言わなかったのかもね。
京成の千葉駅は、駅としてはJRの千葉駅ほど大きくない。だけど、JRのすぐ近くだから人はいっぱい歩いてる。
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