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「しんやっ。ちょっと、待ちなさいよ信也」
その時、後ろの方で女の子のヒステリックな叫び声が聞こえた。朝から、カップルの喧嘩なんて見たくないのに、斎藤くんが足を止めた。
確かに、結芽も気になるから。チラ見するくらいなら、良いかもって思って振り返った。
黒髪ロングの女の子が、すっごい顔して睨みながら。こっちに向かって、ズンズンと歩いてる。周りを見たけど、『信也』らしき人は見当たらなかった。
まさか、斎藤くんが『信也』って事は無いよね。それを、聞こうとして顔を動かした瞬間。
「ちょっと、私の信也に手を出してるんじゃ無いわよ。信也と私はね、元々同中で付き合って二年にもなるのよ」
そんな風に言われながら、両肩を捕まれて。通路の真ん中にある、丸くて太い柱にガンガンって感じでぶつけられた。
「痛いっ、痛い。ちょっと、これって何なの。斎藤くん、一体どうなってるの?」
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