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野次馬から、そんな声が上がってきて。斎藤くんが彼女を抱えて、何とか柱にぶつけられるのは止まった。
背中はちょっと痛いけど、思った程じゃなかった。
「何よ、信也。私を止めるんじゃなくて、この女をどっかにやってよ」
そんな事を言われて、斎藤くんが困ってる。そりゃ、言ってる事が滅茶苦茶だもんね。
でも、どうなっちゃうんだろ。
二人は、付き合ってるのよ訳だし。こんな事になったら、結芽とは終わりって斎藤くんだって思うよね。
はぁ、せっかくいい感じだったのに。
「信也、もう行こうよ。もう、学校に行けないんだから映画でも見に行こうよ」
「でも……」
あれっ、斎藤くんが迷ってる。チャンスあるのかも……
斎藤くんに抱きつきながら、見上げるようにして彼女が見詰めてる。彼が迷ってるの、肌から伝わっているみたい。
彼女の目が、怖いくらいに段々と血走ってく。
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