他校男に妄想

20/24

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
   それが、二人の別れの時みたいに感じちゃった。  そして、ゆっくりと結芽の方に歩いてくる。  もう一回、今度はちゃんと告白してくれるんだ。うわっ、緊張してきた。だって、こんな人がたくさんいる中で告白なんて。 「さっ、斎藤くん……」  周りの音が消えて、斎藤くんしか見えてこない。  その時、斎藤くんの陰から彼女が走って出てきて。結芽の前に来ると、また肩を掴んだ。 「えっ、何で……」 「何でじゃない。信也を返して。返してよ、私は信也じゃなきゃ駄目なんだから」  そう言って、さっきみたいに結芽を柱にぶつけてきた。      ・      ・      ・      ・      ・ ―――ただいま―――  ボーッとしてると、背中がちょっと痛い。いつもより電車が揺れてて、背中がドアにぶつかってたからみたい。  目の前には、斎藤くんが不機嫌そうな顔で立ってる。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加