他校男に妄想

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   電車が段々とゆっくりになってきて、結芽が降りる駅へと入ってく。これだけ、密着してたんだし。もしかしたら、妄想みたいに斎藤くんも一緒に降りてくれないかな。  そしたら、下りの電車に乗っちゃおうかなとか思っちゃったりして。 『――ご乗車のお客さまは、お客さまが降りてからお乗りください』  あっ、降りなきゃ。  降りる直前に、もう一度だけ斎藤くんの顔を見てアピールしてみた。でも、斎藤くんは降りる気配すらない。  何も話してないもん、仕方ないよね。 「ああ、やっと降りるよ。何か、ブツブツ言っててキモいんだよな。この女……」 「えっ、何っ?」  降りる瞬間、斎藤くんがそう言った。  キモいって、結芽の事?あり得なくない。普通、思ったって普通は口に出さないよね。  窓越しに遠くなってく、斎藤くんのイケメンの顔が嫌な顔に見えた。どうしてあんな顔が、イケメンに見えたんだろ。
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