現実男に妄想

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  「幽霊部員だけどね」  中学の時には、ソフト部にいた。だけど、レギュラーにはなれなかった。でも足だけは速かったから、たまに代走要員でベンチに入れた時はあった。  だったら、高校では陸上部に入ろう。 「秋吉 結芽です。結ぶ芽と書いて、ゆめって言います。よろしくお願いします」  青春したくて高校に入って、スポーツ一直線のつもりが。陸上部には結芽よりも、足の速い子がいくらでもいた。  結芽、頑張るの苦手だしね。  練習に耐えられなくて、ゴールデン・ウィークに入ると同時に部活に行かなくなって。メデタク幽霊部員になった。 「秋吉、部活に来ないなら退部届けを出せよ」 「はぁい、そのうち出しまぁす」  陸上部の顧問に、時々言われる。そんなの面倒で、未だに出してない。 「これからの結芽の高校生活は、恋愛と共にあるのよ」  なんて言いながら、学校から駅に向かった。
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