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携帯電話を出して、学校に電話して事情を説明した。それだったら駅に行って自転車屋で、パンク修理してから学校に行こう。
「でもなぁ、自転車での五分って、歩くと十五分はかかるんだよなぁ」
しかもパンクした自転車を押して歩いたら、どんだけ歩くんだろ。足が速くたって、何の関係も無いよね。
「いらっしゃい、お嬢ちゃん」
駅の裏の方にある、小さな小さな自転車屋。自転車は売ってなくて、パンクとか修理だけしてる、おじいちゃんがしてる店。
高校に入学して、最初の日曜日にパンクして、ここで修理してもらった。
「後ろの、タイヤがパンクしちゃって」
「ああ、見りゃ分かる」
「ごめんなさい……」
何か、謝っちゃった。
おじいちゃんは、怖そうじゃないし結芽のおじいちゃんより、おじいちゃんっぽい。白髪の感じも、おじいちゃんっぽい。
とにかく、おじいちゃんなんだよね。
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