大人の男に妄想

12/28

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
   この人が、結芽と同じ制服着たら…… 結芽なんかより、全然可愛いんだろうな。でも、僕って言ってる位だから、やっぱり男の人なんだろう。  電車が揺れて、スーツの上着が捲れた。その時に内ポケットの所に、アルファベットで『Y.Kobayashi』って書いてあるのが見えた。 「小林さんって、名前なんですね」 「うん、小林 雄基って言うんだ。君は」 「結芽です。秋吉 結芽っていいます」 「そう、可愛い名前だね」  うわっ、可愛い名前だって。そんな綺麗な目で、見詰められて言われたら、ドキドキしちゃうよ。  小林さんの目って、黒じゃないんだ。茶色っぽいし、光が当たると白っぽくも見える。日本人っぽくないんだよなぁ。  だから、余計に中性的に見えるのかも。 「あの、小林さんってハーフなんですか?」 「ああ、この目…… 気になるよね」  彼は右手の人差し指で目尻を押さえ、そう言った。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加