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それでも、小林さんとなら全然いいけどなぁ。
小林さんの目が、一瞬細められて優しい笑顔になる。すると、結芽の耳元に顔が近寄ってきた。うわっ、顔が近いよ。
いきなり、何なの。ここって、電車の中だよ。
「学校、行かなきゃ駄目だよ」
そう言って、綺麗な顔が離れた。
「えっ、でも……」
「僕のせいで、学校を休んで欲しくないんだよね。それに、もう駅に着くよ」
「だって、これでお別れなんて……」
その時、電車が駅に到着しちゃった。
これで終わりなんて、絶対に嫌だ。無理やりにでも、降りないようにして。小林さんとの時間を伸ばすんだ。
「学校まで、送っていくから」
「えっ……」
「ほら、結芽ちゃん。行くよ」
扉が開いた瞬間、小林さんが体を入れ替え。結芽の背中に手を添えて、そっと押し出してくれた。何だか、どこかへとエスコートされてるみたいに感じる。
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