大人の男に妄想

19/28

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
   改札を出て、駅を出る。学校までの道を並んでってか、ちょっと結芽が斜め後ろを歩いてく。  すれ違う人が、必ずってくらいにこっちを見てる。「何で、あんなお子さまと一緒なのよ」って声が聞こえてきそう。  小林さんは、こうやって結芽と歩く事をどう思うんだろう。子供な結芽と歩いてて、恥ずかしいんじゃないかな。  そう思ってたら、小林さんから色々と聞かれた。  学校の事、友達の事、趣味の事、好きなアーティストの事、聞かれる事を素直に答えてた。  本当は結芽も、色々と聞きたい事はある。だけど、答えるだけでいっぱいいっぱいで、質問なんて出来なかった。 「はい。学校に、到着したよ」 「えっ、もう……」 「じゃあ、頑張って勉強してきてね。いってらっしゃい」  電車を降りた時と同じように、背中を押されて校門の内側に入ってた。すぐに振り向いたけど、小林さんは駅の方に歩き出している。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加